Gロッソに走れ!

本日、ミュージカル忍たま乱太郎第13弾再演を観劇してきた。観て思ったがこの公演はとにかくちょっと変だ。もちろん悪い意味ではない。全体的な流れも舞台装置、照明の使い方、役者だって本当に良かった。そう、全てが良かったから余計に脚本の冷静な面白おかしさが目立つのである。正直お話としてはすごく筋が通っているのに結果的に大人が真剣に作った高熱の時に見る夢みたいなものができあがっていた。しかもこれがずっと最後まで続く。面白いと怖いの狭間に挟まれておかしくなりそうだった。

今思えば最初からおかしかった。物語は忍たまが学園長の突然の思いつきによって文化祭を開催しよう!というところから始まる。最初は本当に落ち着いていた。一年は組のメンバーが授業を受け、こちらもほのぼのとそれを眺めている時間だった。束の間のほのぼのタイムである。しかしその後6年生がペアになりお互いの似顔絵を描くシーンからほのぼのタイムは終わった。爆裂お笑いタイムの開始だ。とにかく絵が大変なことになっていた。ピカソの画風にそっくりな仙蔵を描き、''ピカゾ''などとのたまう中在家長次を見た時は変な夢を見ているのかと思った。その後異常に血走った大きい目を顔の中央に配置された男を潮江文次郎と称する食満留三郎や異様に鼻筋の通った鼻のみ描き食満留三郎と称する潮江文次郎など様々なものが見られた。そんなことで喧嘩するなよ、という感じだがこの2人はこのお互いが描いた絵で喧嘩する。しかし正直こちらからしたらどちらも似ている、と言えてしまうのが笑えるところだった。

その後も舞台は続いていく。文化祭を開くことが正式決定した忍術学園、各委員会毎に文化祭で出し物をすることになったらしい。そこで各委員会毎に案を出し合うのだがここでも悪い夢を見ているのかと思った。特におかしいものを取り上げる。トップバッターの作法委員会は1000体の生首フィギュアを吊るしたい!と言い出した。しかもロウソクもつけたいらしい。彼らは生首イルミネーションをご所望だった。やだよ、文化祭で生首イルミネーションがあるとか……。当然却下だった。当たり前だよ。潮江文次郎が正常な思考を持っていて本当に良かった。その後もヒルさんボートで外国に行きかける用具委員会だったり、火薬委員会なのに過去の実績のせいで火薬を使うことが禁止となり豆腐を売るしかなくなった久々知兵助が文化祭の間だけ豆腐委員会という訳の分からない委員会の委員長に就任したりと色々あった。久々知兵助はこの世の何より豆腐を愛しているので、豆腐委員会委員長に就任後終始嬉しそうであった。よかったね。その後、お得意の学園長の思いつきが発生し、ここから一気にインフルの時に見る夢みたいなものが続いていく。

まぁ学園長の思いつきがあっても何かしら忍たま達で物事を考えなければいけないタイミングはある。そこで上級生は文化祭何やろうかな談義を行うのだが、もうここから私は頭が痛かった。潮江文次郎は6年生のキメキメブロマイドを作ろうと尽力し、5年生は謎のトンチキ南蛮衣装を身に付けファッションショーの提案をしたりしていた。4年生は唯一可愛かった。アイドルがやりたかったらしい。滝夜叉丸が全てを決めた!と浜守一郎と綾部喜八郎はやんややんや言っていたが、2人も割とノリノリで踊っていた。束の間ほっこりタイム。しかし6年生が場の主導権を握ったことによりこの束の間ほっこりタイム高速加熱悪夢タイムへと姿を変えた。突然ポルトガル語が舞台に乱入してきた。そしてポルトガル語''私は忍者です''、''私達はそこそこ足が早いです''と歌い出されて大困惑した。いくらなんでもグローバルすぎる。俺たちはこれから世界を意識しないといけない!と6年生達は言っていた気がするが、どうしてポルトガル語から挑戦したのか、謎が多いシーンであった。このシーンは1度見たくらいでは到底理解ができず、多分多ステしたら色々分かるんだと思う。知らんけど。その後忍術学園の間で三大災厄と呼ばれている学園長の思いつきが再度発生し、彼らは''忍たま物語''という劇を発表することになる。つまり劇中劇がスタートする、ということだ。これはこの後もっと訳の分からないトンチキタイムの発生を意味しており、この時点でポルトガル語でいっぱいになっていた私は本格的に体調が悪くなってきた。頭が追いつかなさすぎて本当に頭が痛いのである。この時点で多分半分くらい。つまりあと半分位このトンチキタイムが続く。

劇中劇は中在家長次が脚本を担当した。流石中在家長次だ。上手い具合に事が進んでいく。と、油断していた。舞台上に下手から変な人が入ってきた。と思ったら豆腐マイスターに扮した久々知兵助だった。久々知兵助、もとい豆腐マイスターはフランス語話者だった。豆腐を片手に持ち「ドゥポン オハーマ」「ンフーボンジュール」みたいな謎の言葉を吐き、ミスターオハーマと豆腐について熱く語っていた。そこで何故か豆腐を狙う敵が出現。しかし当たり前に豆腐マイスターとその助手なので弱い。しかしただの豆腐マイスターと助手にしては強かったのでそこそこ尺を稼いでいた。変なシーンだ……と思っていたらいつの間にか豆腐マイスターは退場していた。本当に変だった。その後もトンチキタイムは続いていく。本番1日前になっても台本をあげない西田大輔を彷彿とさせるような中在家長次に突然本番中に覚醒し演技力を見せつける食堂のおばちゃん人様の台本を勝手に書き換える稗田八方斎に絶対に学園長を創作上でも死なせたくないハピエン厨中在家長次、入門者が入ってくると奇妙な踊りを披露し、よたよたと遅い足で門に向かう小松田秀作、演出中にイライラで大暴れする立花仙蔵、ブラックジョークにしてはいきすぎている死装束姿の学園長、本当に色々なものが見れた。正直こちらとして豆腐マイスターがめちゃくちゃなフランス語を話している部分だけで元が取れる位面白かった。もう一生分の大笑いを忍ミュでさせてもらった。普段の忍ミュは何かしらシリアスな部分が多いのだが今回は純度100%のトンチキでできあがっており、言ってしまえばほぼ何も考えずに見ることができる。みんなも今すぐGロッソに向かって忍ミュを見てほしい。あまりのトンチキさにきっと笑いが止まらなくなる。しかも熱を出さずに高熱の時に見る夢を見ることができる。こんなにお得なことは無い。さぁ今すぐチケットを取ってGロッソに向かえ!